「英語脳」「脳に英語の回路を作る」ためにするべきことは?
私が英語を教える時、簡単に言って、教授する生徒さんの脳(最近のことばでは潜在意識)に、中学程度の基本文がだいだいでもよいので80文程度入っているかどうか? ということをチェックします。この80文が入っていない人には、それを脳にインプットすることに注力します。
あなたの脳にはこのような文が(だいたいでもよいので)入っていますか?
入っていない場合は、外国人の教えるスクールのクラスやTOEICの試験は、一言で言ってムダになります。ムダでないにしても、あなたが思われるよりずーっと学習効果が落ちます。
このことをハッキリと指摘した人は、私の知る限りおりません。
スクールでのネイティブのレッスンの80%は対話方式で、これがよいようで、あまり上達しないのです。
それは入力(インプット)ができていないのに、生徒から返答(アウトプット)を期待するような問いかけや、練習問題や作文をする時間をかなりとってしまうからです。
すると、生徒の英語を直すことに終始することになるからです。ネイティブによる、お相手会になっているケースが多いようです。
また、TOEICでは、試験を受けるにはこのレベルの人には難しすぎます。
まずは80文をインプットしてから受けるのでないと、効率が悪いばかりか、英語初心者に、英語はたいへんだ!むずかしい!という印象を与えてしまい、結局、脳が閉じてしまうという現象を引き起こします。(ただし、80文が入っている人は外国人の対話方式はかえってよいし、英検の3級、準2級、2級も悪くはありません。)
なお、80文が入っていない人が多数TOEICを受験するので、日本人の平均スコアーは国際的に見て大変悪くなり、英語は難しい、たいへんだ!という印象を与えるので、できない人が続出しています。心理的な影響を少さく見てはいけません。
さて、この80文が入っていない人は、音読、リピーティング、CDを聴きながら、ブツブツ心の中で言ってみる、暗記、どれでもよいので、トレーニングという感じで80文のインプットに集中してください。
チョッと大変という人もいるでしょうが、これはすごい効果があります。
そして、この80文が、世間で最近言われている「英語脳」「脳に英語の回路を作る」ということとほぼ同義で、逆にたった80文が潜在意識に入れば、驚くほど上達していきます。
また、外国に住んでいたのに、ほとんど上達しなかったという話を結構聞きますが、それらの方達は、この基本文が潜在意識に入っていないのです。
ですから進展していかないのです。
以上のことは、論文などという形で立証した人もいないようなので、私たちの盲点となっています。
私は自分の長年の経験と研究から申し上げます。
意味が大体分かった上で、中学程度の基本文を80文程度脳に入れてください。
次から次へといろいろやる前に(やるにしても上のことを認識した上でやること。)80文に注力してください。
なお、この80文は中学2年の1学期から中学3年の2学期ぐらいに出てくる文と考えてください。
それらの文で、日常会話の80~90%が構成されています。
基本英文を身につけたら次に何をするべき?
ここで述べたいことはただ一つです。
80文程度が脳も含めた体全体でだいたい分かっていない人と分かった人では、ハッキリ学習のやり方が違ってきます。
すなわち、
分かっていない人
インプット90%
アウトプット10%
分かった人
インプット50%
アウトプット50%
(目的などによってインプット70%、アウトプット30%などやその逆もありうる。)
となります。アウトプットとは、実際にネイティブ(日本人相手でもよい)に学んだ英語を使ってみる、あるいは使ったとしたら?と、できるだけ実際の場面を想定して(簡単なイメージングです)より実践的にトレーニングすることです。
この段階になっても、単に本などで単語力を付ける、むずかしい文法を学習するなど、難しいことを断片的にインプット中心にやるのが、日本人の英語の上達が遅い一つの理由です。
フィリピン、インド、香港などの人達の会話がうまいのは、このレベルでどんどん、ヘタでも英語を使ってみるからです。使いながら、単語力や文法力やリスニング力を付けています。
「でも、実際にネイティブとの実戦の場がない!」と言う人がいそうですが、国内ではそのために英会話スクールがありますし、外国人も増えましたので、工夫しだいで、チャンスは十分あるでしょう。