英語は難しくない!大人のための最短英語学習法

忙しい大人のための効率的な英語学習法について書いていきます。

ネイティブの教師がいなくても外国語はマスターできる!

ここまで見てきたように、シュリーマンが多くの外国語を習得したのは、明確な目的があったからです。

彼は語学を習得することで自分の価値を高め、人生のチャンスを掴み取ろうとしたのです。

大きな転機となったのは、B・H・シュレーダー商会で帳簿係になった時のことです。

彼はシュレーダー商会がロシアを主要な取引先としていることを知り、ロシア語を学ぶことに決めました。
既にその時点で、シュリーマンは7ヵ国語をこなせる人物として高い評価を受けていました。
そして、ロシア語をマスターしたことをきっかけに、シュレーダー商会のロシアでの代理人として旅立つことになり、資産家への道を歩み始めるのです。

このロシア語の習得には、今までと一つだけ異なる問題が発生しました。
というのも、当時アムステルダムにはロシアの副領事以外にロシア語のわかる人はいませんでした。
そして、この副領事はシュリーマンにロシア語を教えるのを断ったのです。

その結果、先に話したとおり、シュリーマンは教師抜きでロシア語を学ばざるをえませんでした。

そこでここでも再び、極端な自己投資の考え方で驚くべきことを実行するのです。
少しでも進歩できるように、貧しいユダヤ人を雇って、毎晩2時間もの間、ロシア語を朗読して聞かせたのです。
誰か聞いている人がいれば、少しでも上達するだろうというのが理由でした。
当然このユダヤ人は、ロシア語は一言もわかりませんでした。

結局ネイティブの教師に教わることなくロシア語を習得し、すぐにロシア人に手紙を書いたり、商取引でロシア人と会話を始めています。

語学の学習にはネイティブの指導があった方がいいに決まっていますが、例えネイティブの教師がいなくても、外国語を習得することは可能だということです。

現代では、ネイティブの音声を録音して、手軽に再生することができますから、シュリーマンより何倍も有利です。

“シュリーマンが心底から取り組んだのは、もちろん外国語だったが、彼はそれが必要な 技術なのであって、実際の知識と混同してはならないと力説している。かなり後になって 従兄弟のアドルフに「外国語は学問の助けになるが、それだけでは学問のある人には なれない」と書き送っている。”

(『トロイアの秘宝』p72)

“もともと彼は文学そのもの、芸術そのものに感激したためしはなく、ダンテもシェークス ピアもゲーテも問題にしなかったのであるから、古代の悲劇詩人を彼が好んだことも、文学 としてよりは、むしろ彼の好みがギリシアに向かっていたせいにすぎないのである。”

(『発掘者の生涯』p232)

 

人生の後半からにしろ、考古学で偉大な業績を残した人物が文学・芸術に興味を抱かなかったのは不思議な話です。

商売をたたんでから学問に興味を持ったのか、それともある程度の資産を築くまでは自分の好きなことを我慢していたのか。

いずれにせよ、このことからシュリーマンの外国語習得の目的があくまで実利的だったことがはっきりします。

 


“一八五六年の初め、クリミア戦争で利益を得て少し暇ができると、ヨーロッパの言語で 抜けていたもの、つまりギリシア語、それも古代と現代の両方に取り掛かろうと決めた。
商売のためでも、あるいは旅行の途中で言葉が通じるようにとの目的でもなく、ただ楽しみ を目的に勉強するのは初めてだった。”

(『トロイアの秘宝』pp72-73)

“ギリシア語もまた、彼が実用の目的なしに学びとった、最初のことばであった。彼がのち におりおり近代ギリシア語の商業通信文を書いたことは、問題にならぬからである。”

(『発掘者の生涯』p74)

“それでものちのアラビア語の下書きのなかには、印刷体ながら、たいへんみごとな字が 見られる。この天分ゆたかな人が、なぜ、自分が使いもせぬことばで自分を苦しめたかは、 未解決の問題である。”

(『発掘者の生涯』p75)

 

実際のところ、語学学習自体はシュリーマンにとって楽しいものだったようです。