英語は難しくない!大人のための最短英語学習法

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シュリーマンは嘘つきだった?22か国語話せるというのも嘘なの?

 「何が真実か」というのは、シュリーマンを語る上で重要なキーワードになってきます。
というのも、シュリーマンの時代は発掘された遺跡も少なく、また考古学における発掘技術や年代測定なども未熟でした。
そのため、シュリーマンが他界した後の研究によって、覆された「歴史」もかなりあるのです。

さらに、シュリーマン自身が「嘘つき」呼ばわりされるほどの独創的な情報発信者であった面も否めません。
そのため、「彼の言う事実」が「真実」であるのかどうかを注意深く判断する必要があるのです。

 

“シュリーマンは確かに嘘をついた。事件を捏造した。さまざまな人々をいたはずのない 場所に登場させた。その回顧談を飾り立てて完璧なものに仕上げた。”
(『トロイアの秘宝』p23)

 
シュリーマン夫人ソフィアがトロイアの秘宝を身につけている有名な写真は、後から撮られたものだそうです。
彼女は秘宝の発見時、その場にいなかったどころか、発掘に参加してさえいなかったというのです。

 

“そしてシュリーマンの自叙伝のほとんどが自らの生涯を都合のいいように語ったもので あり、現代の批評家が「シュリーマンの嘘は彼の伝記作家たちが何でも鵜呑みにして 信じてしまうせいで誇張されている」と疑義を挟んでいるのは当然と言えよう。”
(『トロイアの秘宝』p24)

 
“その攻撃のほとんどが、考古学的発見を発表する際に真実を操作したこと、そして幼少 時代を書き換えたことに対するものだ。回想録では九歳で既に考古学者になると決心した ばかりでなく、トロイアの発掘を心に誓ったことをさも事実であるかのように書いているが、 彼の残した文書類をちょっと調べただけで、考古学がその人生に登場するのは一八六八 年、つまり彼が既に四〇代半ばに達してからであることがはっきりする。”
(『トロイアの秘宝』p25)

このように、シュリーマンの語る「事実」のいくつかは、明白に否定されているのです。

しかし、彼の外国語の習得法については、ある程度記述が一貫しています。
というのも、シュリーマンが嘘をついたり見栄を張ったりしなければならなかったのは、考古学の分野に関わることがほとんどでした。

素人同然で考古学に参入して偉大な実績を挙げたシュリーマンは、先輩の考古学者たちから激しく嫉妬され、叩かれ続けました。
元々見栄っ張りで自己顕示欲が強いシュリーマンは、彼らの非難に激しく反応しました。

そして、彼らに認められ、できるだけ高い評価を得られるように、自分の発見や人生までも作り変えてしまったのです。

しかし、彼の残り2つの業績、語学とビジネスについては、嘘をつく必要はありませんでした。
どちらも紛れもない事実であり、同じレベルで勝負できる人物もいなかったため、誰もシュリーマンを疑ったり非難したりすることができなかったのです。

ということで、シュリーマンの外国語習得法についての記述は、そのほとんどを信じても構わないようです。

ただ、彼の外国語習得法を探る上で、彼の性格や状況を理解して、その中に嘘が混じっている可能性があることも忘れてはいけません。

 

 

 

一般人にはシュリーマンの外国語習得法を真似することができないのか?

シュリーマンの外国語習得法、それは「過酷」の一言に尽きます。

常人ではなしえないような努力と忍耐強さを持って、膨大な量の知識を短期間で習得してしまいます。
予備知識なしに見ると、あなたも「これは絶対に無理」「特別な才能が必要だ」といった感想を持つと思います。

これだけシュリーマンの自伝が広まり、その外国語習得法についてある程度具体的な情報が流布されているにも関わらず、実際に取り組む人がいないのもうなずけます。

そこで、ここではまず、先入観なしにシュリーマンの外国語習得法を読んでもらいます。

そして彼の伝記を可能な限り詳細に分析して、実際に彼がやったことを再構成し、手順としてまとめてみることにします。

次に、シュリーマンの人生のうち、語学に関する部分を辿っていきます。
この時、現代日本に生きる私たちでも、より正確に彼の外国語習得法を理解できるように、彼の生きた時代背景、性格的な特異性なども考察していきます。

最後に、彼の外国語習得法を実際に再現してみましょう。
現代日本でどのように実行すればいいのか、またその効果を損なわないでできるだけ簡単に利用するにはどうすればよいのかも書いていきます。